ジョモケニアッタ空港で

市内の大渋滞をぬけてジョモケニアッタ空港に若干早く到着したら、カウンターにはこれ以上想像出来ないほど無愛想な女が待ち受けていて、何となく嫌な予感。この女、手渡したe-ticketをあろうことかポンとこちらに突き返し、fully bookingと一声発したままそっぽを向いてしまった。
ん?満席だと?何を言ってるんだエチオピア航空でもあるまいし、僕は自分の聞き間違いか、この女の悪ふざけかと思ってもう一度聞き直すと、今度はover sold, sorryと言い直しやがった。無愛想な顔でsorryなんて言われるほど腹の立つことはない。それにover soldだと?over booking ならまだしも、売り過ぎとはなんだ?結局よく聞けば、前日のフライトがキャンセルされた煽りを受けて、前日客がごっそり当日に流れ込んだので、冬日のブッキングがぶっ飛んでしまっただけのことだった。だったら今日の朝にも状況はわかっていたはずで、なんで空港まで出向かせる前に電話の一つでもくれないだ?ブツブツいっても拉致があかないし、チェックイン締め切りの1時間前までは、空席が出る可能性も捨てられないので、カウンター脇でもうすこし様子を見ることにした。
ふと隣のカウンターから日本語で怒鳴る声が聞こえてきたので振り返ると、観光旅行とおぼしき中年の夫婦連れ。僕と同じく、フルブッキングで市内に戻れと言われているところだった。
チェックイン締め切りを待つ間に、この夫婦と少しばかり話したところ、バンコクからの乗り継ぎ便で成田にすぐ帰らなくっちゃいけないそうで、一便遅らせるとかなり面倒なことになるとか。僕も仕事でスケジュールが詰まっているのでそういう話をすると最後はため息ばかりになってしまった。
結局チェックイン締め切りまで、責任者をみつけて話しを聞いたりするうち、ほぼ今日のフライトでの空席を取ることは不可能に近くて、話しはホテルの確保だとか、食事のこととかどうしてくれるのか、それ以外の仕事のやり繰りや予想外の状況への無駄な出費はどう弁済してくれるのかという話しに論点は移って行って、その中で一人当たり300ドルの見舞金が出るらしいことを聞き付けた。
夫婦連れにそのことを話すと二人だと600ドルよねってな話しになって、市内観光もできるしいいかなって雰囲気になってきた。僕もさっきまでの腹立ちはどこへやら、タダメシと宿までついておまけに300ドルもらえりゃ、1日くらい遅れてもいいかなって気分になってきて、夫婦連れに市内で1日あれば、見どころはこんなところもありますよとか調子よく説明してあげたりする変わり様。せっかくだから露天市があるので案内しましょうかとかすっかり浮かれ気分になっていた矢先、僕の名前がカウンターから呼ばれた。
「ハイ、搭乗券」
「なにこれ?明日の分?」
「違います。今日のです。ボーディング時刻なので急いでください!」
どうやら僕はマイレージのクラスが上位だったため、ひとつだけ空いたところに滑り込めたらしい。
しかし、今300ドルでせっかく気分がほぐれて来ていたところなのに・・不幸に遭遇した夫婦連れとせっかく仲間意識が芽生えて来ていたところなのに・・
僕は夫婦連れのところに戻ってチケットがもらえたと伝えると、奥さんの方がそれは良かったですねと自分達の不遇を顧みず喜んでくれて申し訳ないやら後ろめたいやら。
僕は露と消えた300ドルとつかの間の連帯意識に思いを馳せながらゲートに急ぎました。
成田に向かう中年ご夫婦、どうぞ600ドルで僕の分まで楽しんで下さい。露天市の行き方をそう言えば教えてあげなかったのが悔やまれました。
でもいったいどっちが幸せだったのだろう?

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント